生きる見本


私の相談所に10年間通い続けて来たUさんという方がおりました。

 

このUさんとは、私が山梨県にある霊山【七面山】を登詣している時に知り合いました。

 

なぜかUさんとは妙な具合で、途中からずっと一緒に登詣する事になり、ついには下山する最後の最後まで一緒だったのです。

 

Uさんは春木屋別館さんで私たちに「それでは失礼致します!」という事で別れた筈だったのですが、
どういう理由かUさんが道を間違えたらしく、再び七面山の麓にある春木屋別館に戻って来てしまったのです。



それがキッカケとなり、今日まで一緒に修行をする事になりました。

Uさんという方は、熱心な日蓮宗の信者で私と出会う以前から(35年間)修行をして来た方でしたが、
なぜか普段から眠気がとれず、仕事にも支障を来すほど苦しんでいたのでした。


私がUさんを七面山で初めて見かけた時は、正直申し上げると「とても重いものを背負われている方だなぁ・・・」と感じて、
関わらない方が良さそうだなと思っておりました。


それが、それから10年の付き合いになるのですから人生とは不思議なものです。


当初Uさんを霊視していて視えて来たモノというのは、ご先祖様関係の事でしたので【お墓参り】が中心だったのですが、
3年目を迎えた頃から、ちょっとずつ別のモノが視え出しました。

 

それはこんな感じでした・・・。
「山の上に神社が視えるのですが、その神社の正面から真っ直ぐに海へ向かう坂道が視えます。

その神社こそUさんにとって、力を貸してくださる神様がいる所です。」

私がそのように言っても、当時のUさんには全くピンとくる所が思いつかなかったようでした。



それから時が経ちUさんが10年目に入った時の事です。

私が「函館駅から東へ行った所に、Uさんにとって大事な家がある筈です。
そこの神棚に祀られている神社の御札を調べて来てください。」と言ったのです。


それから早速Uさんは、夏休みを利用して北海道の函館へと旅立ったのでした。

その後10日ぐらい経ったある日の事、Uさんから連絡があり、私たちは驚くべき事実を知らされる事になりました。


函館駅から東にあった家は、Uさんの家の総本家で、その家の神棚に祀ってあったのは【函館八幡宮】の御札だったのです。

現在、その海が見える坂道を登った所にある神社というのは【護国神社】なのですが、
以前はその場所に【函館八幡宮】があったそうなのです。


つまり、U家は大昔から【函館八幡宮】の神様に守られていた家だったというわけです。

これもまた妙な事なのですが、
私は何年か前にUさんに「八幡宮の総本家である九州の【宇佐神宮】へお詣りに行くように!」と、言った事がありました。


今から思えば、その頃から既に何らかのヒントが与えられていたのです。 

私はUさんに対して、時には厳しい事も言いましたが、
それに耐え一生懸命に修行に取り組んで来たからこそ、Uさんにとっての有り難い事実が示されたのだと思います。 


若い頃から順調に生きて来たような方々には、このUさんの苦しみや努力の凄さを理解する事は出来ない事でしょう。


会社組織にはUさんのように苦しんで、苦しんで、苦しみ抜いて生きて来たUさんのような
【いぶし銀】の存在がなくてはなりません。


Uさんのこれからの人生に乾杯です!


※ちなみに、このUさんは後に日蓮宗の尼僧になりました。


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