326.罪滅ぼし
私は14歳の時に脳出血により母を失いました。
私は寂しくて、小さい頃から大好きだった犬を飼いたいと考えていました。
すると、3ヶ月後に近所で仔犬が6匹誕生したという情報が耳に入ってきました。
私が希望していた仔犬は、毛がフサフサした雄犬でした。
まさに、その仔犬が1匹だけいたのです。
この仔犬は、当初近所に住んでいた小学校1年生の小柴◯◯ちゃんという女の子に
『プクプク』という名前を付けて頂き、とても可愛がって頂きました。
そんな日が続いていたある日の事、父が「仔犬の名前を『次郎丸』にしよう!」と言い出しました。
私はなんともクラシックな名前だな・・・と思いましたが、家長は父ですから仕方なく了解したのでした。
この『次郎丸』という犬は、水遊びが大好きで小川を見つけると、迷わずに飛び込んでいきました。
だから散歩後の『次郎丸』は、いつも泥だらけ。
私はそんな『次郎丸』が可愛くて仕方がありませんでした。
あれから40年が過ぎたある時、沖縄で当時小学校2年生の男の子に雌犬のゴールデンレトリバーが付いてきたというのです。
どうやら、この雌犬は捨て犬だったようでした。
それから3ヶ月間、この雌犬のゴールデンレトリバーは男の子の家で預かる事になりました。
しかし、結局引き取りに来る方がいなかったために、そのまま男の子の家にいる事になりました。
この雌犬のゴールデンレトリバーは、なぜか私に懐いてくれました。
それはまるで『1号セーラ』とよく似ていました。
ちなみに『1号セーラ』というのは『次郎丸』の生まれ変わりだったのです。
私は『次郎丸』の事を、あまり散歩に連れて行かなかったので、その事がずっと心残りになっていて、
後ろめたい気持ちを抱いたまま、これまで生きてきていました。
そんな私でしたから、私はいつも【罪滅ぼし】だと思い、
可愛いと感じるこの雌犬のゴールデンレトリバーを、雨の降る日は私が散歩を代行して行っています。
このゴールデンレトリバーと一緒に歩いていると、自己満足なのですが私はとても癒されるのです。
これからも、私はずっとこの雌犬のゴールデンレトリバーを大切にしていきたいと思っています。
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